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製作年:2005年 日本劇場公開:2005年11月19日/渋谷アップリンク 上映時間:106分/パートカラー 製作:リタピクチャル(日本) 配給:フライング・ジブ 2005年プサン国際映画祭正式招待作品 公式サイト:www.flyingjib.jp |
13年にわたり、4本の長編劇映画をたった一人で作り上げ、ベルリン国際映画祭をはじめ、全世界の映画祭からの招待が続くアンダーグラウンドの異才――山岡信貴。黒沢清をして「“これはまったく新しい映画だ”と呟いてそれで済まされるものか」と言わしめた問題作が10周年で湧くアジア最大の映画祭であるプサン国際映画祭でのワールドプレミアを経て日本に上陸する。「天然性侵略と模造愛」と名づけられたその作品は、浅野忠信初監督作品「トーリ」を精緻に解析したドキュメンタリー「ソラノ」でもその才能の新たな一面を披露した山岡信貴の最新劇映画である。既存の方法論から逸脱した語り口はある意味難解ではあるが、その濃密に作りこまれた映像世界による未知の体験に魅せられ、リピータとなる観客も数多い。「天然性侵略と模造愛」はこれまでのジャンル分け不可能な山岡作品とは違い、一見、SFサスペンスの装いをまとっているが、その枠にとどまることのない深遠なテーマ性とあたかも映画史を一人で作り変えようとするかのような気迫に溢れる斬新な映像作品に仕上がっている。映像のデジタル化が進み、映画の製作そのものに無限の選択肢が生まれつつあるが、デスクトップ1台で作り上げられたこの作品のもつ圧倒的なスケール感と完成度は、21世紀の映画の可能性についての新たなページを開くことになるであろう。 |
恋人のマヒルに働かせて、自分はのんびり自堕落な生活を楽しむ青年ナナセ。ある日、不思議なメッセージをきっかけに彼の身辺に異変が起こり始める。どうやら、ナナセそっくりの男がいる。それも一人や二人ではない。それらの異変の裏にちらつく20年前に失踪した生物科学者の父の影。そして、地球外から来た謎の生命体の死骸・・・。些細な事件はやがて生物としての人類の危機へとなだれ込んでゆく。 |
分裂した自分だけの世界で自分の境界はどんどん曖昧になってゆく。一人五役も六役もつとめる山岡信貴もまた分裂し、自分だけの世界を作りだす。その異形の世界を一度でも覗いてしまったら、あなたもそこに呑みこまれ、世界の一部となってしまうだろう。 柳下毅一郎(特殊翻訳家) 山岡信貴はきわめて真面目に何かを表現しようとしている。と同時に、明らかに何かを踏みにじっている。 黒沢清(映画監督) 山岡信貴は『マトリックス』や『ボディ・スナッチャー』へのオマージュに加え、スプラッター映画や日本の怪獣映画の要素を交えて観客を楽しませる。優れた SF映画が生まれるかどうかは、予算の規模ではなく想像力の問題なのだ! キム・ジソク(映画祭プログラマー) |
山岡信貴(やまおか・のぶたか) 1965年、大阪市生まれ。同志社大学工学部卒。在学中は音楽、演劇活動に取り組む。卒業後、劇映画のポストプロダクション業務に携わり、'93年に16ミリ処女長編映画「PICKLED PUNK」を製作。同作品はぴあフィルムフェスティバルにて審査員特別賞を受賞後、ベルリン映画祭ほか多数の映画祭に招待上映される。以後もすべての製作作業をひとりで行なうスタイルを貫きながら定期的に作品を発表し続けている。映像への関与は、外国映画の買い付けやDVD商品企画開発、TV番組、ゲームソフトのプロデュースなど、多岐にわたる。これまでの作品に、「Zeki, Florian and Kelly!」('96), 「Methods ofmayhem」('97),「Lovely lovely beautiful world!」('97), 「PIG'S INFERNO」('00) ,「ソラノ」('05)などがある。 |